2022.4.25
地元企業がアートに力を入れるワケ
藤元 明《2021#TOKYO 2021》2019年
先日、若手アーティストを支援する仮囲を利用したプロジェクトを紹介しましたが、なぜ今、戸田建設はアートに力を入れようとしているのでしょうか?
もちろん、東京アートアンティークでも口を酸っぱくして言ってきたように、京橋・日本橋は世界でも類を見ないほど、美術商が集まるエリアなのです!
しかも一流・老舗の古美術商が、です。
アーティゾン美術館もありますしね。
なのに、やはり華やかな銀座のブランド力に比べたら、かなり地味・・・。
戸田建設の建替えが始まる数年前、「アート事業を本格的に取り入れる」ことが知らされました。
アートと関わりのなかった企業が突然「これからはアートだ!」と言い出したのですから、
おそらく多くの美術商さんたちは
「そんな簡単なものじゃないよ」と内心思っていたのではないでしょうか(笑)。
ですが、戸田建設には「建設会社が街づくりに長く関わっていく」という覚悟のようなものがあったようです。
アートと何の関係が?
と思うかもしれませんが、戸田建設は、明治31年から京橋に本社を構えています。
この地域が古くから「芸術と文化の街」であることを実際に見てきて、その重さを理解していたからこそ、街づくりに長く関わるなら、アートを事業に取り入れる必要がある、と思えたのではないでしょうか。
2019年、戸田建設の本社、旧TODA BUILDING解体直前の社屋を利用して、建築家や美術家が連携して、2021年以降の都市の在り方を考えるワークショップや美術展「TOKYO2021」を開きました。
「普段は街に来ることの少ない若者や外国人が地域を多く訪れ、可能性を感じた」そうで、その後TODAビルの建設構想や着々と進むアートプロジェクトの本気度に、いい意味で街が変わっていくのではないかという期待が募ります。
このように地に足の着いた企業が地域を理解し、活かして、さらに発展させる姿が本来の「街づくり」さらには「文化」を作り上げることになるのかもしれません。
それはアートに関わる人、買う人、売る人全てにおいても同じことが言えるのではないでしょうか。