2023.11.5
『京橋アート・アベニュー』第4回 美術店舗を巡る旅!女性店主がおすすめする作品とは?
中央エフエムHello! Radio City「京橋アート・アベニュー」
第4回9月27日(水)放送
出演者 花徑店主 利谷有里様
ナビゲーター:JUMIさん
*本記事は中央エフエムさんに許可をいただき、収録内容を書き起こして編集したものです。
店を持つようになって変化したコレクション
JUMI
京橋ア―ト・アベニュー、皆さん中央区京橋には日本一のアート街があることをご存知でしょうか? いにしえから現代まで多彩なアートの魅力を発信する街。ここは150ものギャラリーが集う日本有数の美術街です。
江戸時代からアートとゆかりが深くて、美術館級のお宝から、ご家庭で楽しむアートまで何でも揃うアートの街。そんな京橋にお店を構える美術のプロたちを月替わりでお招きして、アートの街としての魅力を語っていただきます。
京橋アート・アベニュー第4回は、古美術花徑(かけい)から、女店主でいらっしゃる利谷有里さんをお招きしました。
何だかすごく魅力があるといいますか、オーラがありますね。スタジオの空気感変わりますね。
利谷
ありがとうございます。
JUMI
そんな利谷さんに最初に伺う質問は、今更ながら利谷さんに伺うことでもないのですが、「あなたの〇〇コレクション」教えていただいてよろしいでしょうか?
利谷
実は店を始めるまでは古いものが好きで買っていたのですが、店を始めてからは家には古美術のコレクションはなくて。逆に作家の友達が多くて、展覧会で作家の絵や、やきものを買うことが多くなりました。
JUMI
その代わりに、現代の作家さんたちの作品がご自宅に並んでいると。
利谷
はい。飾ったり使ったりしています。
JUMI
そういうコレクションをなさっているということですね。利谷さんの家に行ってみたいですね。
さあ、そんな利谷さんにお話を伺っていくのですが、まずこの京橋の街との繋がりからご紹介をお願いいたします。
京橋移転のプチブームに乗って新参者のつもりが早20年
利谷
最初は三鷹駅の玉川上水沿いですごく気に入ったところで店を始めたのですが、しばらくして中央線界隈のお店が京橋に移るプチ移転ブームがありまして。
そのブームに乗って私も京橋に行きたくなってしまって、引っ越してきました。ただ戦前に祖父がしばらく東京に住んでいて京橋に事務所があったらしいので、縁があるのかもしれないと思っています。
JUMI
そうですね。おじい様が呼んだのかも知れないですね。利谷さんは京橋にお店を構えられてどれくらいになるのですか。
利谷
いつまでも新参者のつもりでいたのですが、20年ぐらい経っていて。
JUMI
全然新参者じゃない。(笑)
そうでしたか。その20年の間にいろいろと変化はあったと思います。京橋にお店を構えて良かったなって思うこと、気づいたことはおありですか。
利谷
そうですね。日本橋や銀座に比べると派手なところはなくて地味な感じですが、それこそ江戸時代から続いている会社があったり、底力の強い町だなと感じています。
修学旅行で訪れた浄瑠璃寺と法華寺で味わった感動
JUMI
なるほど。素敵なお言葉をいただきました。本当、底力があるんですよね。
さてそんな中で利谷さんが古美術に出会ったキッカケとはどんなところからだったのでしょうか。
利谷
そうですね、骨董店に勤める前はデザイン会社に勤めていて、そのオーナーが骨董好きだったんですよね。それまで印判のお皿を蚤の市で買ったりしたことはあったのですが、そのオーナーから仏像の残欠を買いまして。
JUMI
なるほど、オーナーさんから買ったのがきっかけだったのですね。一体どれくらい前のもので、どこにあったのだろうか、と言うところにロマンがあっていいですね。
そこで一気に古美術の世界に引き込まれたわけですね。
利谷
そうかもしれないですね。
JUMI
そんな中で今、花徑(かけい)という名前で古美術店をやってらっしゃるわけですが、お店ではどのようなものを扱ってらっしゃるのか教えていただいていいでしょうか?
利谷
はい。きっかけが仏教美術の残欠だったのでそれが影響しているのかもしれないのですが、仏教美術が一番好きで中心に据えています。あとは花活けや普段使える食器など、自分が好きなものを取りとめもなく扱っております。
JUMI
なるほど。女性目線でという言葉が合っているかどうかわからないけど、その目線で選ばれた作品の説明に惹かれて、思わず「じゃあ、これ、いただきます!」って言うような気がします。
利谷
そうですか。(笑) お待ちしています。
JUMI
ご自身の古美術への入口は、会社の方からお買いになったものでしたが、私たちが今共有できるものでいうと、どんなものがありますか。
利谷
お寺とかでしょうか。もうそれはありすぎて一つ選ぶのは難しいですし、どこに行っても感動するのですが、一番最初にお寺でいいと思ったのは、高校の修学旅行で浄瑠璃寺を訪れたときでした。建物がものすごく綺麗で本当にそれはよく覚えています。
また、同じ修学旅行で法華寺の十一面観音がたまたま公開中で、それを見たときも本当に感動しました。
JUMI
そういう感動をティーンエイジャーのときに経験するのは大事ですよね。なるほどありがとうございます。
古美術品の魅力とスティーブ・ジョブズ
JUMI
そして古美術 花徑さんに、今日はどんなものを教えていただき、おすすめいただけるのでしょうか。
利谷
普段こういうものを扱ってるわけではないのですが、昔から憧れていたもので、室町時代の刀の鍔です。「甲冑師鍔(かっちゅうしたん)」という「鍔」のことで、この模様が可愛くないですか?
JUMI
いやそうなんです。これね、後で皆さんのブログで見ていただこうと思いますが、まずは三日月があります。それから鎌があります。そして、五輪塔があります。
すごくおしゃれな人が作ったのですね。
利谷
そうですね。今でも通用するようなデザインだと思います。
スティーブ・ジョブズに見せたかった。(笑)
JUMI
スティーブ・ジョブズがまだお元気なときに、日本で色々な古美術をご覧なってお買い上げになっていたそうですけれども、京橋に来ていたのではないか、と思ったりもしますよね。
どなたかうちのお店にスティーブ・ジョブズが来たよという方は、ぜひメッセージを送ってください。
利谷
骨董店の人たちがスティーブ・ジョブズを認識できたかどうかは、わかりませんが…。(笑)
スティーブ・ジョブズがこれを見ていたら、ここにアップルマークの透かしをつけた鍔を作ったかもしれないな、なんて思って。
これを見て何か、どういう風景を思い浮かべられますか?
JUMI
そうですよね。五輪塔と三日月と鎌って、私だったら秋の季節の収穫で、本当は中秋の名月と言いたいところですけども、三日月のほのかな光の中で五輪塔がふっと照らされていたらすごく美しいだろうなと思います。
利谷
なるほど。刀の鍔の解説も、私の思うこととは違うことが書いてあったりするので、見た方のイメージでいいのですが、私は鎌には魔除けの意味があるのではないかと思っています。武士というのは戦に行くときには、贅を尽くした装いをするのですが、そういう武将の贅を尽くしたものと違って、これは何かストイックな野武士が持っていそうな鍔だなと思って。三日月の薄明かりの山道にポイントがぼっと見えるような。だって、恐ろしいじゃないですか魔が襲ってくるか、敵が襲ってくるか。
JUMI
なるほど。心細いなかで。
利谷
それを魔よけの鎌でこの刀に、そういうものからも守ってくれる妖力を持って欲しいっていう気持ちがあったのではないかなって深読みして楽しんでいます。
JUMI
思わずぐっと握りしめて、戦いの場に向かうみたいなイメージはあるかもしれない。想像が膨らみますね。
利谷
これに限らずいろんなものを見て、いろんなことを想像するのが楽しいですね。
JUMI
美術の魅力ですね。花徑さんの店に行ったら、見ることができますね。
利谷
常に展示してはいないのですが、ちょうど来月「ミセニテ」というイベントを店舗でやるので、その時には展示します。
JUMI
10月12日から19日まで、ちょうどお昼の12時から夕方6時まで開店しています。7店舗それぞれのお店で「ミセニテ」というフェアをやってらっしゃるということです。
ぜひ皆さんには、古美術に触れていただきたいなと思います。さあそれではですねぜひ、利谷さんから次にご出演くださるお店をご紹介いただきたいのですが。
利谷
同じく女性の店主の去来さん、プチブームのきっかけになった去来さんも中央線からこちらに移転してきた方です。中国古代のものとか、金銅仏とか、そういうちょっと骨のある美術品を扱ってる方です。
JIMI
なるほど、ありがとうございます。
第5回は去来さんにお越しいただくということにいたしましょう。
今日は第4回古美術花徑(かけい)から女店主 利谷有里さんにお越しいただきました。
利谷さん、本当にありがとうございました。
利谷
ありがとうございました。
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