2023.9.21
『京橋アート・アベニュー』第3回 作家と共に歩み成長する京橋の画廊、林田画廊
中央エフエムHello! Radio City「京橋アート・アベニュー」
第3回8月30日(水)放送
出演者 林田画廊店主 林田泰尚氏
ナビゲーター:JUMIさん
*本記事は中央エフエムさんに許可をいただき、収録内容を書き起こして編集したものです。
派手さはなくても実のある街
JUMI
皆さん、中央区京橋には日本一のアート街があることをご存知ですか?
実は、京橋周辺には150もの店舗が集う日本有数の美術街があるんです。
美術館級のお宝から、ご家庭で楽しむアートまで何でも揃うアートの街京橋、そんな京橋にお店を構える美術のプロたちをお招きして、この街の魅力を語っていただきます。番組をお聞きになって、この街の扉を叩いてみてはいかがでしょうか?
それでは参りましょう。
京橋アートアベニュー第3回目のゲストは、林田画廊のご店主林田泰尚さんです。
林田さん、よろしくお願いいたします。
林田
よろしくお願いいたします。
JUMI
これまでは、どちらからかというと古美術をご紹介して参りましたが、今回林田さんにはどのような作品をご紹介いただけるのか楽しみです。
まず最初に伺いたいのは、京橋という町には、どんな想いをお持ちですか。
林田
京橋は、とても小さな街区ですが、大規模な開発が進んでいます。お客様たちも来るたびに街が変わるので、ここに何があったかしら?と思い出せなくて、たどり着けない方もいらっしゃったり(笑)。
僕たちは、どんどん変革していく街の中でひっそりとお店をやってるのが現状かな。京橋は、派手さはないけれども、花も実もあるというよりも、花よりも実を取るといいますか。
JUMI
わかりやすい表現ですね。「実」がすごくあって、実はその町に入ってみないとわからないところがありますよね。
そもそも林田画廊さんが京橋にお店を構えた理由を教えていただけないでしょうか?
父が銀座よりも京橋を選んだ理由
林田
祖父が戦後に日本橋に画廊を開いて、その2階に住んでいました。僕は夏休み、皆さんが田舎に帰るのに対して、日本橋に帰って祖父母のところに泊まっては高島屋さんや東急さんなどのデパートの屋上で遊んでいました。昔は釣り堀や観覧車などいろいろありました。
平成になって祖父の店を叔父が継いで、父は林田画廊として独立しました。
銀座への憧れはあったのですが、大きな作品を飾れるスペースのある画廊にしたいということで、京橋の今の場所になったと聞いています。
JUMI
そうでしたか。そして今、林田泰尚さんが2代目として引き継がれたのですね。
それでは、林田画廊でどのような作品を扱ってらっしゃるのか、どのような作品を多くの方に知っていただきたいとお考えでしょうか。
林田
祖父が仕事を始めた利点として、80年前から様々な作家さんとのお付き合いがあります。有名な大家の先生方から若手作家まで、いろいろな先生方とお付き合いをさせてもらい、作品をいただけることが一番のメリットです。昭和・戦後の先生方というのは、僕が一番好きな時代なのですが、亡くなられている先生方なので今はなかなか扱えません。自分と年±10ずつぐらいの今活躍している先生方と、いろいろなことを考えながら新しく面白いことをやれないかとチャレンジをしています。
JUMI
美術界では若手、と呼ばれる人たちの作品にも注目なさっているのですね。
林田
そうですね。作家さんたちと企画を考えながら、作り手の想像力を刺激する企画を提案することによってアドレナリンを出すような、作家の潜在能力を引き出すようなプロデューサー的な仕事も画廊の仕事だと思っています。
若手作家の活動を大きく広がる展覧会「渺渺展」
JUMI
日本画を多く描いてらっしゃる方に対して、こんな試みもどう? といった投げかけを林田さんからしたりするんですか。
林田
そうですね。ちょうど今弊社で展示をしている「渺渺展(びょうびょうてん)」(8/30放送時点)という、若手のグループ展があります。今回で7回目になりますが、今まで風鈴に描かせたり、みんなで二十四節気をぐるっと繋ぐようなテーマで絵を描いてみたりと、いろいろやってきました。今年は日本画と工芸ということで、平面を描く先生方に陶器や絵付といった、立体物に絵を描くようなことを挑戦的にやってみたところです。
JUMI
そうですか。もう7回目を迎えるというこの「渺渺展(びょうびょうてん)」ですけれども、「渺渺」というのは、どういう意味なのですか?
林田
「渺渺たる」というですね、「水面がずっと広く広がっていくような大きな広がり」という意味の言葉です。「渺渺たる」って使わないですよね。
JUMI
すごく素敵な言葉だと思いました。さんずい(氵)だから水に関わるような広がりということだと思うのですが、「渺渺なる」とか「渺渺たる」と言ってみたいですね。
林田
このメンバーは、日本画を専門にしている作家たちなのですが、水が広がっていくように活動がどんどん広がっていくという意味で展覧会名にしました。作家たちは、2メートルを超える大作を描く場として、昨年までは銀座のメルサで開催していたのですが、今年からは、新宿区の佐藤美術館というところで大作を展示して、京橋の林田画廊で小品を展示しています。
JUMI
なるほど。ということはこの期間中は2ヶ所でそれぞれの作家の方の作品を見ることができるということなのですね。
林田
そうです。絵描きさんにとって大きな作品を描くことはとても楽しくて、小さい作品とちょっとベクトルが異なります。大きい作品というのは、なかなか手間もかかるし材料費もかかるのに飾れる場所が少なくてなかなか売れない。買ってくれる人も少ない。大きい作品を発表する機会が少ないので、こういった若手の集まりが発生していくんですね。
JUMI
なるほど。素晴らしい展覧会ですね。林田さんがプロデューサーとしてお役目を果たしていて、まさにそれが形になって私達に届いてくる場だということですね。
林田
そうですね。大きな作品はなかなか買えないので、林田画廊の小品展で気に入った作家の作品をお求めいただいて、作家の応援になればいいなと。
JIMI
今日スタジオにお持ちいただいたのは岩田壮平さんという方の作品で、一つは錦鯉の日本画で、美しい金と薄い紫、そして藍色というのですかね。そこにポッと鯉が浮かんでいる。この錦鯉の何と丸々とした見事なことか。
林田
そうですね。この先生は「たらし込み」という、絵具を置いていくような描き方で、ぽってりと絵の具を垂らしていくのですが、すごく質感や空気感が表現されています。今回出来たての作品を先生からいただいてきたばかりで、これから額屋さんに持っていくところなんです。それを持ってきちゃいました。なかなかこういう状態で見ることはないと思います。
JIMI
額装前の岩田壮平さんの作品をぜひ皆さんに見ていただきたい。そしてさっきお話の中に出てきたように林田さん、この岩田さんは基本、日本画を描かれる方のはずですが、なぜかスタジオにもう一つ作品が。
林田
そうです。今回は日本画と工芸ということで、佐賀の唐津まで行って、先生に唐津焼に絵付けをしてもらった作品を今回お持ちしました。岩田先生の唐津焼は、他に存在しないのではないでしょうか。
林田画廊一押し作家3名を10月の東美アートフェアでご紹介!
JUMI
ぜひ皆さんには、林田画廊で9月2日まで開催中の「渺渺小品展」でご覧いただきたいと思います。大作展は佐藤美術館で9月の3日まで開催しています。
林田画廊は中央区京橋2-6-16にあります。ガラス張りなので、外からも林田さんがいらっしゃるのが見えるんですよ。
さあ、それではですね。ぜひリスナーの皆さんへのメッセージと、来月ご登場のお店を京橋繋がりでご紹介いただきたいと思います。
林田
はい。岩田先生の作品は、10月13日〜15日に東京美術倶楽部で開催される「東美アートフェア」という催しでも展示します。岩田先生を初め、3人展を当店では企画をしていますので、そちらも併せてご覧いただければと思います。
その東美アートフェアが10月の13日から開催しているんですけれども、そのときにですね、実は京橋でも小さなアートフェア「MISE-NITE(ミセニテ)」が開催されてまして。
それぞれのお店を回っていただくようなフェアなのですが、その企画をされている、古美術花徑の利谷(としや)さんという女性の方をご紹介します。生活への古美術の取り入れ方がとっても素敵な尊敬する先輩で、面白い話が聞けると思います。
JIMI
ありがとうございます。また来月も楽しみです。というわけで林田さん、お忙しいなか、今日はありがとうございました。
林田
ありがとうございました。
JIMI
というわけで、今日は林田画廊のご店主林田泰尚さんにお越しいただきました。
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