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「頂点を極めたお椀」室瀬和美+目白漆學舎

(終了) -
中長小西

漆芸家(人間国宝)の室瀬和美は講演等で「漆椀でご飯を」と繰り返し話してきました。「漆椀は熱伝導率が低く、適度に水分を吸うので、ご飯が最後の一粒まで温かく美味しく食べられますよ」と。そのことを示す象徴的な出来事がありました。

2013年、三浦雄一郎の登頂隊がエベレスト(チョモランマ)に挑みました。体力・精神とも極限状態での楽しみは何と言っても食事。しかし、通常ベースキャンプ等で使用する食器はアルミや合成樹脂製で、8000m級の山ともなると、温かなスープもすぐに冷めてしまいます。出発直前にその相談を待ちかけられた室瀬は「美味しい食事を摂って登頂に成功して欲しい、そして漆椀の利点を極地で試してみたい」との思いから、漆椀を人数分つくり、はなむけとしました。

山頂付近の気温は、昼はプラス50度、夜はマイナス40度前後。そうした厳しい環境下で、登頂隊はその漆椀を使い、いつも温かい食事を摂ることができたそうです。そして戻ってきたお椀には全く問題が無く、美しい塗膜を保持していました。漆の強さも証明されたのです。まさに頂点を極めたお椀です。

本展では、この登頂隊と同形のお椀を、目白漆學舎の協力で展観します。漆の強さと温かい感触を味わってください。

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