2025.4.14

『京橋アート・アベニュー』第21回 京橋で古代オリエントのロマンに触れる!ギャラリーマリ 岩瀬豊さんが語る5000年前の美

中央エフエムHello! Radio City「京橋アート・アベニュー」
第21回 2025年3月28日放送
出演者:ギャラリーマリ 岩瀬豊さん
ナビゲーター:JUMIさん
*本記事は中央エフエムさんに許可をいただき、収録内容を書き起こして編集したものです。

 

 

5000年の時を超える美との出会い

 

JUMI
Hello! Radio City京橋アートアベニュー。この番組では、京橋に店舗を構えるギャラリーのオーナーをお招きして、京橋の古美術とアートの魅力をご紹介しています。今回のゲストは、京橋1-6-8にあるギャラリーマリの岩瀬豊さんです。岩瀬さん、本日はよろしくお願いいたします。

 

岩瀬
ギャラリーマリの岩瀬です。よろしくお願いいたします。

 

JUMI
ギャラリーマリは、京橋で長くお店を構えていらっしゃるのですね。

 

岩瀬
オーナーの寺下が開廊したのが2000年ですので30年近くなります。 

 

JUMI
岩瀬さんは、京橋という街にはどのような印象をお持ちですか?

 

岩瀬
20年以上、修行時代から通い慣れた街なので、愛着がありますね。

 

JUMI
古代美術という専門分野に惹かれたのは、やはりお好きだったからこそでしょうか?

 

岩瀬
ええ、好きでなければ続けられませんよね。

 

JUMI
ご自身の興味だけでなく、その魅力を多くの方に伝えたいという思いもあったのでは?

 

岩瀬
そうですね。学生時代から、古代オリエント美術、具体的には地中海沿岸地域や近東、エジプト、そして教科書の最初の方に出てくる四大文明の文物に強い興味がありました。これらの分野に携わる仕事ができたらいいな、と思いまして。

 

JUMI
なるほど。

 

岩瀬
そこで、ギャラリーマリの店主である寺下のもとに弟子入りしました。

 

JUMI
それはおいくつぐらいの時ですか?

 

岩瀬
30歳になるかならないかぐらいの頃でしょうか。ずいぶん昔のことですね。

  

 

 

心を奪われたガラスの破片:10代の出会いが人生を変えた

 

JUMI
世界史の教科書で学んだ四大文明から、現在に至るまでの岩瀬さんの思いをお聞かせください。どのような探求心をお持ちですか?

 

岩瀬
小学生の頃は、誰もがそうかもしれませんが、ピラミッドやアラビアンナイトにロマンを感じていました。ナスカの地上絵などもそうですね。高校を出た頃、美術品として古代の文物を手に入れることができると知って、この道に進みたいと思ったのがきっかけです。

 

JUMI
なるほど。高校生の頃に初めて手にされた古代オリエント美術は何でしたか?

 

岩瀬
最初はガラスの破片でした。

 

JUMI
それはすごいですね。古代のガラスですか?

 

岩瀬
ええ。元々、プリミティブアートと呼ばれるアフリカなどの美術にも興味があり、各地を旅する中で、同じようなガラス片をよく見かけていました。「これは何だろう?」と調べていくうちに、ガラスは交易品として世界中に流通していたことを知りました。高価なものではありませんが、キラキラと光る銀化という経年変化が起こるのです。当時は理由もわからず、不思議な銀色に魅せられました。

 

JUMI
不思議な銀色?

 

岩瀬
3ドルほどで購入したガラス片を専門家に見てもらったところ、「岩瀬くん、これは非常に古いものだよ」と教えてもらい、こうした古代のものが探せば手に入ることを知ったのが、最初の出会いですね。

 

JUMI
運命の出会いですね。

 

岩瀬
そうですね。今でも古代のガラスは、私にとってメインのものとして扱わせていただいています。

 

JUMI
10代の頃の衝撃的な出会いが、人生を大きく変えたのですね。そして今、京橋にいらっしゃる。

 

 

5000年前の偶像(アイドル)と出会う:掌のオリエント古美術の世界

  

JUMI
アートアベニューでは、毎回ゲストの方にイチ押しの作品をご紹介いただいています。岩瀬さんが今日お持ちくださった作品は?

 

岩瀬
はい、こちらです。ぜひ皆さんにご覧いただきたいのですが…ラジオなので難しいですね。

 

JUMI
ラジオで美術作品を紹介するのは難しいですが、そこがまた面白いところでもあります。

 

岩瀬
高さ8センチほどの小さな石像です。

 

JUMI
石の種類は?

 

岩瀬
大理石です。
羽根が生えたような、不思議なロボットのような形をしています。

 

JUMI
確かに人型にも見えますね。大理石なので、色は白いのですね。

 

岩瀬
ええ、偶像(アイドル)ですね。現代のアイドルと意味は違いますが。地中海地域でよく見られる、抽象的なデザインのお守りのようなものだと思います。

 

JUMI
なるほど。

 

  

岩瀬
バクトリア(現在のアフガニスタン〜イランあたり)で作られたもので、紀元前3000年頃、つまり5000年前の人形です。

 

JUMI
5000年前の人形が、ほぼ完璧な状態で京橋にあるとは驚きです。完品の状態で残っているのは珍しいことなのでしょうか?

 

岩瀬
ええ、非常に珍しいです。埋葬の際に意図的に破壊されることが多く、縄文土偶もそうですが、何らかの意味があったのかもしれません。そのため、出土するものはほとんどが断片です。完品である点が、今回ご紹介する一番の理由です。

 

JUMI
なるほど。ギャラリーマリ岩瀬さんのお手元にあって、まもなく開催される東京アートアンティークで見ることができるのですね。

  

岩瀬
はい、展示いたします。今回のテーマは「掌のオリエント古美術」です。小さいながらも無限の情報が詰まった作品、手のひらに収まるような作品を集めました。今回のメインビジュアルにもこの作品が使われていますので、ぜひ探してみてください。

 

JUMI
ぜひ実際に見ていただきたいですね。古代の美術品には、様々な思いが込められていると思います。鮮やかな色彩も魅力的で、本当に不思議な世界ですよね。5000年前のものが京橋で見られるというのも驚きです。今後もギャラリーマリでは、このような作品を集めていくのでしょうか?

 

岩瀬
もちろんです。店主の寺下とともに、これからも古代オリエント美術の魅力をお伝えしていきたいと思っています。立派な美術品も大切ですが、ガラス片のように、ご説明させてあげないとわからないようなもの、それこそ無限の可能性を秘めた小さな断片です。そうした見過ごしてしまうようなものにも注目していきたいですね。

 

JUMI
想像力を掻き立てられるような作品との出会いは、素晴らしい体験になるでしょうね。ガラス片との出会いが人生を変えたという岩瀬さんのように、多くの方に古代オリエント美術の魅力に触れていただきたいですね。お店で岩瀬さんに「ラジオを聞いた」と声をかけても良いですか?

 

岩瀬
もちろんです。

 

 

東京アートアンティークと巖谷國士先生の講演会

 

JUMI
最後に、リスナーの皆さんにメッセージをお願いします。

 

岩瀬
はい。東京アートアンティークでは、「掌のオリエント古美術展」と題して、小さいながらも無限の魅力を秘めた作品を展示いたします。また、4月26日、27日には、フランス文学者の巖谷國士先生をお招きして講演会を開催いたします。

 

JUMI
どちらで開催されるのですか?

 

岩瀬
ギャラリーマリが入っているビルで開催します。巖谷先生は、フランス文学、シュールレアリスムの研究で知られていますが、古代地中海世界にも造詣が深く、ご自身で撮影された写真と共に、地中海世界を旅するようなお話を聞かせていただけると思います。

 

JUMI
それは素晴らしい講演会になりそうですね。参加申し込みはどのようにすれば良いでしょうか?

 

岩瀬
ギャラリーマリのウェブサイト、または東京アートアンティークのウェブサイトからお申し込みいただけます。まだ若干お席に余裕がありますので、お早めにお申し込みください。

 

JUMI
ぜひ皆さん、お早めにお申し込みください。

 

岩瀬
お待ちしております。

 

JUMI
ありがとうございました。というわけで今回の京橋アートアベニューは、京橋1-6-8にあるギャラリーマリの岩瀬豊さんにお越しいただきました。岩瀬さん、ありがとうございました。

 

岩瀬
ありがとうございました。

 

 

 

中央エフエム Hello! Radio City ブログでもご覧いただけます!

https://fm840.jp/blog/hello/

 

ギャラリーマリ:https://www.tokyoartantiques.com/gallery/gallery-mari/

 

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