2024.12.17
『京橋アート・アベニュー』第17回 京橋に漂うパリの香り、翠波画廊
中央エフエムHello! Radio City「京橋アート・アベニュー」
第17回 11月22日(金)放送
出演者:翠波画廊 高橋芳朗さん
ナビゲーター:JUMIさん
*本記事は中央エフエムさんに許可をいただき、収録内容を書き起こして編集したものです。
落ち着いた大人の街、京橋に画廊を構えた理由
JUMI
皆さん、中央区京橋には日本一のアート街があることをご存知ですか?古から現代まで、多彩なアートの魅力を発信する街。ここは150ものギャラリーが集う、日本有数の美術街なんです。江戸時代からアートとゆかりが深く、美術館級のお宝からご家庭で楽しむアートまで、何でも揃うアートの街、京橋。そんな京橋にお店を構える美術のプロたちを月替わりでお招きして、この街の魅力を語っていただきます。
さあ、今日ご登場いただいたのは、翠波画廊の高橋さんです。京橋といえどもたくさんの画廊、ギャラリーがありますが、高橋さんのお店はこのスタジオからも近く、京橋3丁目にありますね。私は区役所に行く途中などで、ギャラリーの前を通る際にガラス越しに作品を眺めており、「いつかはここで…」という思いはあるんですけれども…。
今日は高橋さん自らお越しいただいたので、色々とお伺いしたいと思っています。まずは、京橋の街への思いから伺いたいのですが、どんな思いをお持ちでしょうか?
高橋
そうですね、やはり銀座と違って人の流れがすごく多いわけではないですね。もちろんそこそこ人は流れますが、ビジネスをするにあたっては、人が多ければいいというものでもなく、好きな方がゆっくりと街巡りをしていただけるという意味においては、京橋という場所は非常にいいのかなと思います。
JUMI
そんな高橋さんに伺うのも恐縮ですが、今日のメッセージテーマは「あなたが大切な人にプレゼントしたいもの」です。ぜひ高橋さんのお考えをお聞かせいただきたいです。
高橋
ちょっと考えてなかったので急に振られてびっくりしてますが(笑)。では、たまたま今日一緒にお仕事のパートナーの太尾田まさみさんが、この収録を撮影してうちのインスタグラムに載せるということで来てくれているので、太尾田さんに差し上げる一点として、今ふっと思い立ったのは…チョコレートですね。フランスの有名メーカー、ジャンポール・エヴァンのチョコレートです。カカオの香りが非常に良くて、すごくおいしいチョコレートなんです。パリに出張した際には割と差し上げてるので、太尾田さんもきっと気に入ってくれると思います。
JUMI
ジャンポール・エヴァンのチョコレート! 2月14日を待たずに、素敵なプレゼントになると思います。さあ、そして京橋に翠波画廊を構えられた理由を教えていただけますか?
高橋
そうですね、京橋は非常に落ち着いた街であるということと、同業者の方たちがたくさんいて、軒を連ねているので、一緒にいた方が良いという事で京橋に画廊を構えました。もう23年になります。もう一つは、お客様が来るにはアクセスがいいんですね。地下鉄直結でいろんなところに行けますし、地方から来られるお客様も多いのですが、東京駅も近いし、羽田からも一本で来れます。
JUMI
確かにそうですね。都営浅草線がずっとつながってますからね。そういう意味では絶好のアートを巡る場所ということになるんでしょうね。さあ、そして翠波画廊ではどういったものを中心に扱っていらっしゃるのでしょうか?
美大から画商へ、絵に囲まれた生活に憧れて
高橋
うちでは、皆さんになじみのある藤田嗣治やシャガール、マチス、ピカソなど、前世紀の初めにフランスで活躍した画家たち、エコールドパリの版画から原画まで幅広く取り揃えています。
JUMI
美術の教科書に必ず出てくる画家の方たちのお名前ですが、その作品が京橋に並んでいるわけで、外からも見られますが、私はよく見てます! 中に入ってじっくり近くで見ることができるって貴重な場所ですよね。高橋さんご自身は昔から美術に接していたのでしょうか?
高橋
そうですね、私は美術大学に入りまして、卒業して学校教師や大学教師になる道もあったのですが、そういう道は向いていないな、と思いました。ですがアーティストになって制作活動を続けるというのも自分には向いてないと思ったので、美術商になるのはどうだろうかと考えたんです。大学の在学中から卒業を見据えて美術商になり、絵に囲まれた生活、仕事ができたらいいな、という思いから現在に至ってます。
JUMI
そうでしたか。
翠波画廊ってどうしてこういうお名前なのかなと思っていましたら、高橋さんは四国愛媛県のご出身だと拝見しまして。
高橋
はい、愛媛県には翠波高原とか翠波峰というのがあるんですね。
JUMI
ふるさとへの思いが込められているんですね。それにはすごく納得しました。これでもう翠波画廊さんのお名前を忘れませんね。
さあ、翠波画廊さんのおすすめの一品をご紹介いただこうと思います。ラジオでどうやって紹介するんだって皆さん思われるかと思いますけども、高橋さんの話術と、思いを含めてご紹介いただきたいと思います。今日もスタジオに飾らせていただいております。どなたのどんな絵でしょうか?
「現代の印象派」と呼ばれる画家、ギー・デサップの魅力
高橋
今日スタジオに持ってきましたのは、ギー・デサップという現在フランスで活躍していて、80歳を超える画家さんの作品です。一般的に「現代の印象派」と呼ばれていて、パリの街を印象派の技法である点描を使って描く絵描きさんです。
JUMI
今日お持ちいただいた絵はですね、まさにクリスマスにぴったりじゃないのという作品なんですけども、今日それを選んでいただいたんですね。
高橋
そうですね、今回お持ちしたのはちょうどパリの街並みですが、パリの街並みだけではなくて、いろんなモチーフを描きます。田園風景を描けばニューヨークの街も描くのですが、うちで一番人気があるのが、パリの夕暮れ時の、雨が降って路面が濡れ、濡れた路面に街灯やレストランの光が反射して、街がキラキラと美しく輝く一瞬を描いた作品です。
JUMI
本当に惚れ惚れとする絵ですね。石畳が雨で濡れて、そこに人工の光が当たってキラキラとしている。そこに枯葉も落ち葉も落ちていて、しかも人々はクリスマスシーズンを間もなく迎えるということで、ワクワクしてお買い物を楽しんでいるような、遠くにエッフェル塔が見える…。素晴らしい絵ですね。
高橋
ありがとうございます。一つ特徴がありまして、デサップの絵画に描かれているパリというのは、当然パリの街が一番輝く夕暮れ時の街灯が灯り始めてそれぞれのお店が火を灯し始める時間帯なんですけれども、実はこの絵は現代のパリではないのです。
JUMI
なるほど、何年代なのでしょうか?
高橋
ちょうど50~60年前、デサップの子供時代の、最も良かったパリの時代を思い返しながら描いているので、画面全体が少しセピア調の色を帯びていて、ノスタルジックな感じがすると思います。
JUMI
おっしゃる通りですね。本当にこの絵に吸い寄せられてお店に入って行ってしまいそうな素敵な絵ですね。
高橋
ありがとうございます。
JUMI
ラジオで絵画を表現するって本当に恐縮なんですが、でもこういう風にお話しいただけると、ぜひ見てみたいわって思っていただける素晴らしい絵ですね。翠波画廊さんでは、こういった作品を随時作家さんも買いながら展示なさっていると思うんですが、これからクリスマスシーズンそして年明けに向けてはどんな作品展が開催されるんでしょうか?
12月14日からは、藤田嗣治展で多彩な作品を取り揃えて展示販売
高橋
12月14日から藤田嗣治の展覧会を予定しています。油絵から水彩、デッサン、代表的な版画などを取り揃えて開催します。
JUMI
ぜひ皆さんにはゆっくり楽しんでいただきたいと思います。本当に美術館の中に入ったような、でも本当に居心地のいい空間になっていると思うので、ぜひ気軽に扉を開けて、外からだけ見てないで、お入りくださいということでよろしいですかね?
高橋
そうですね。皆さんどうしても画廊って敷居が高いイメージを持つと思いますが、そんなことは全然なくて、見ていただくだけで全く結構ですので、気軽に店内に入っていただいて、絵の鑑賞を楽しんでいただければと思います。
JUMI
ありがとうございます。高橋さんも在廊をなさっている時が多くいらっしゃいますか? 直接お話聞けると嬉しいです。
さあ、それでは最後になりますが、リスナーの皆さんに、高橋さんからメッセージをお願いします。
高橋
私のお店では、あまり難しいことを言わなくても見て楽しめる、日常の中に気軽に芸術体験を取り入れて楽しんでいただけるようなアート作品を数多くのお客様にお持ちいただきたいというコンセプトで作品紹介をしております。ぜひお気軽にお越しください。
JUMI
ありがとうございました。
というわけで、本日の京橋アートアベニューは、京橋3丁目にあります翠波画廊から、高橋芳朗さんにお越しいただきました。高橋さん、ありがとうございました。
高橋
ありがとうございました。