2024.10.24

『京橋アート・アベニュー』第15回 松森美術が語る京橋の魅力と若手作家支援

中央エフエムHello! Radio City「京橋アート・アベニュー」
第15回 9月27日(金)放送
出演者 松森美術代表取締役社長 森田祥二郎さん
ナビゲーター:JUMIさん 
*本記事は中央エフエムさんに許可をいただき、収録内容を書き起こして編集したものです。

京橋に店を構えた理由と松森美術の歴史


JUMI
皆さん、中央区京橋には日本一のアート街があることをご存知ですか? 古から現代まで、多彩なアートの魅力を発信する街。ここは150ものギャラリーが集う、日本有数の美術街なんです。江戸時代からアートとゆかりが深くて、美術館級のお宝からご家庭で楽しむアートまで何でも揃うアートの街。そんな京橋にお店を構える美術のプロたちを月替わりでお招きして、アートの街としての魅力を語っていただきます。 それでは参りましょう。京橋アートアベニュー。今日スタジオにお招きしたのは、松森美術 代表取締役社長でいらっしゃる、森田祥二郎さんです。よろしくお願いいたします。

 

森田
よろしくお願いいたします。

 

JUMI
さて、まず最初に森田さんがこちら京橋にお店を構えられた、その理由も含めて、ご自身のプロフィール、そして京橋の街への思いについても教えていただいてよろしいですか?

 

森田
はい。松森美術の代表取締役をしております森田祥二郎と申します。京橋は古くから商いの街と聞いておりまして、大正時代よりたくさんの美術商が集まってきたと聞いております。今は「アートの街京橋」や、「京橋彩区」とも言われておりまして、その思いを胸に僕はここで商いをしていければなと思っております。

 

JUMI
そうでしたか。森田さんは2代目ということになりますか?

 

森田
厳密に言うと父が3代目になりまして、私で4代目になります。

 

JUMI
そうですか。東京京橋という地にはゆかりがあったのでしょうか?

 

森田
いえ、私の名前は森田なのですが、会社名が松森と言います。父は松阪の出身で松阪の森田さんということで松森さんと呼ばれていたのをそのまま屋号にさせていただきました。

 

JUMI
では改めて三重県松阪からようこそ! ということなんですけど、中央区京橋という土地を元々ご存知だったということですか?

 

森田
はい。平成7年に父が名古屋から東京の京橋に新店舗を構えさせていただいたんですけれども、日本で最も古い骨董通りがあるということで、元々この通り沿いに店を構えたいと父はずっと思っていたと聞いております。

 
アート界の寵児、松森美術が力を入れるARの世界
 

JUMI
そうでしたか。そしてその思いを継いで、今森田さんが4代目としてなさってるということなんですけれども。ではこの松森美術さんではどんな作品を、どんな作家さんを押していらっしゃる、集めてらっしゃるのでしょうか。

 

森田
弊社では、若手作家から人間国宝をはじめとする巨匠作家の作品まで幅広く扱っております。インターネット販売と実店舗での販売の両面で商いを行っているのが弊社の特長となります。特に、インターネットでの美術販売は実物を手に取れないということで、一般的には難しいと言われるんですけれども、私どもで3DやARの技術を使い、いかにインターネット販売を成功させるかということを日々工夫を重ねております。

 

JUMI
もう本当に時代の寵児と言いますか、まさに時代に乗った形ですね。立体として、私たちはまるでそれを目の前で手に取って見ているような仕掛けを作ってらっしゃるんですか?

 

森田
そうですね。僕らは美術商としてお客様にどういう風に伝えられるかということを日々考えておりまして、やっぱりそこに写真だけだと見たいところが見れないとか、実際の大きさ、雰囲気がわからないので、ARというのはすごい便利だなと思っております。

 

JUMI
質感さえも画面を通して見ることができるわけなんですね。どれくらい開発にかかったのでしょうか?

 

森田
結構びっくりするくらいのお金はかけまして。(笑)
大体4年ぐらい前からの構想で、去年、今年ぐらいから上手くいき始めて、まだまだ改良の余地はあるのですが、これからはそれを頑張って行こうかなと思っております。

 

JUMI
最先端の技術をうまく組み合わせながら、扱ってらっしゃるのは古美術であったり、そして、現代作家のものもそうですけれども、まさにその作家の思いを伝えることができるようになってきたと。

  

森田
はい、そうです。

 

JUMI
さて、実際にこの京橋の古美術街に訪ねていらっしゃるお客様はいかがですか? 

 

森田
私どもは元々古美術を扱っていたので古美術のお客様には今でも遊びに来ていただいたり、今は若手作家の作品が多いので、若手作家のお客様もたくさんいらっしゃいます。色んなタイプのお客様に来ていただいてます。

 

一押しの逸品紹介

JUMI
そんな中でぜひ今回森田さんに教えていただきたい松森美術の一押しの逸品をぜひご紹介ください。


森田
はい。こちらはですね、9月21日より弊社で個展を開催している腰越祐貴先生の「樹器(きき)とアマガエルとヤマアカガエル片口」という作品です。

 


  

JUMI
ずいぶん長いタイトルが付いてますね!

 

森田
はい。こちらはですね、「きき」シリーズの一貫で、目木の幹にアマガエルが止まっているように見えるんです。ただ、実際には片口として使える作品で。

 

JUMI
多分ラジオをお聞きの皆さんは、「きき」ってどんな字を書くの? って思われると思うんですけども、これ、樹木の「樹」に「器」と書いて「樹器」ということですね?

 

森田
はい、そうです。

 

JUMI
そしてアマガエルは確かに、じっと止まっている気もするんですけども、それが片口としても使えるような作品になってるんですか?


森田
そうです。

 

JUMI
この作品をご覧になった時、森田さんはいかがでしたか?

 

森田
いや、もう本当に先生の非現実と現実を融合させるという、木のように見えるようなものが実は作品だったりという面白いコンセプトが僕は好きで、なおかつ、この先生は今年の菊池ビエンナーレで奨励賞を受賞した、今本当に人気のある作家なんです。

 

JUMI
素材は何ですか?

 

森田
陶器ですね。

 

JUMI
もしかしたら木だと思って触る方もいらっしゃるかもしれないけど…。

 

森田
思ったより重いんです。


JUMI
へえ、これはぜひ実物を拝見して見ていただきたいですよね。

 

森田
はい。違う種類のカエルが可愛いカエルがあの中から覗いてるような形なので、面白いですね。

 

 
 
若手作家を応援する、若手社長の想い
 

JUMI
このシリーズはぜひ皆さんに知っていただきたいんですけれども、片口として使えるということはもちろん日常に使っていただけるということですね? 鑑賞用だけじゃなくて。

 

森田
そうです。

 

JUMI
これをご覧になった時、最初森田さんはどのようにお考えになりましたか?

 

森田
そうですね。あの、僕ちょうど今その腰越先生の個展を28日まで店舗でやってるんですが、自分もお客として買わせてもらっているくらい一目惚れした作品です。

 

JUMI
そうでしたか。やはりこれから先、長く腰越先生とはお付き合いが続きそうということになるのでしょうか?

 

森田
はい、海外にまで推していきたいなと思っております。

 

JUMI
なるほど。日本のアートの良さと、そしてその海外との親和性というのはどうなんですか?


森田
ちょっと話が逸れるかもしれないのですが、元々私が若手作家を応援したいと思った理由は、やはり若手作家は名前が売れてないということで、すごく安く売られてしまうことがあります。
けれども、私は父の代から美術に生かしてもらった、育ててもらったという思いがあり、この美術業界に恩返しをしたいという思いが昔からあります。そんな中で、若手作家の話を聞くとアルバイトをしながら陶芸をしています。そこで、僕らがその若手作家を応援することで、日本の若手作家の技術がどんどん上がってくれればと思い、本当に商売としてはなかなか難しいものではありますが、若手作家の作品を通じて、この業界に恩返しをしたいと、今やっております。その若手作家を海外に推していくことによって、日本のアーティストがどんどん世界に認められたらという思いでやっています。

 

JUMI
なるほど確かに若手作家の方はアトリエを見つけることさえ、とても大変だと伺ってますし、そういう中で京橋の古美術の街から新たな息吹が生まれるという、代変わりをしていきながら、新たなものが生まれていくというのは本当に素晴らしいことですね。

 

森田
そうですね。そうなっていくように精一杯頑張っていきたいと思います。

 

JUMI
若手作家を応援する森田さんを、私たちがまた応援するという、この連鎖はいいんじゃないでしょうか?(笑)

 

森田
ぜひよろしくお願いいたします。

 

JUMI
このラジオをお聞きの皆さんには、ぜひお立ち寄りいただきたい松森美術さんですけれども、森田さんから最後にリスナーの皆さんへのメッセージ、それからもし展示会などございましたらご紹介いただいていいですか?

 

森田
はい。先ほども申し上げた通りなのですが、弊社では腰越祐貴先生の個展を9月28日土曜日まで店舗にて開催しており、Yahoo!ショッピングでは翌日の9月29日日曜日まで開催しておりますので、ぜひご覧ください。

 

JUMI
ありがとうございました。これからもぜひ京橋の古美術街を盛り上げていただきたいと思います。今日はスタジオに松森美術から代表取締役社長でいらっしゃる森田祥二郎さんをお招きしました。森田さん、本当にありがとうございました。

 

森田
ありがとうございました。

 

中央エフエム Hello! Radio City ブログでもご覧いただけます!
http://fm840.jp/blog/hello/2024/09


松森美術
https://www.tokyoartantiques.com/gallery/matsumori-art-co-ltd/

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