2024.7.30
『京橋アート・アベニュー』第12回 激レアコレクター人生が今に至るギャラリー黒川
中央エフエムHello! Radio City「京橋アート・アベニュー」
第12回6月21日(金)放送
出演者 ギャラリー黒川 黒川詠司さん
ナビゲーター:JUMI
*本記事は中央エフエムさんに許可をいただき、収録内容を書き起こして編集したものです。
激レアR2-D2を買わずにはいられなかったコレクター気質
JUMI
皆さん、中央区京橋には日本一のアート街があることをご存知ですか? 古から現代まで多彩なアートの魅力を発信する街。ここは150ものギャラリーが集う日本有数の美術街です。江戸時代からアートとゆかりが深くて、美術関係のお宝から、ご家庭で楽しむアートまで何でも揃うアートの街。そんな京橋に店を構える美術のプロたちを月替わりでお招きして、アートの街としての魅力を語っていただきます。
それでは参りましょう、京橋アートアベニュー。さあ、今日スタジオにお招きしましたのは、京橋三丁目にありますギャラリー黒川から代表の黒川詠司さんです。黒川さんよろしくお願いいたします。
黒川
よろしくお願いします。
JUMI
お若いのでびっくりしました。20代でいらっしゃると。
黒川
はい。
JUMI
20代からこの世界にいらっしゃるということですが、そんな黒川さんに最初に伺いたい質問はですね、今日のメッセージテーマ、「あなたの激レアなもの」を教えていただけますでしょうか。
黒川
そうですね、僕はスターウォーズが好きで、スターウォーズに出てくる「R2-D2」というキャラクターがいて、その実寸の動く冷蔵庫を持っています。
JUMI
R2-D2って、スターウォーズに登場したピポピポ言いながら動く可愛いロボットですよ。あれがお好きなんですか。そして実寸ですか!
黒川
実寸で動くんです。
JUMI
しかも冷蔵庫なのですか。
黒川
冷蔵庫なんですけど、冷蔵庫使うときはコンセントささないといけないので。
JUMI
なるほど、動けないですね。
黒川
普段冷蔵庫として使わないときはリモコンでしゃべりながら動くんです。
JUMI
これはどうやって手に入れられたんですか。
黒川
オークションでたまたま出てて、ただの冷蔵庫かと思ったんですけど、リモコンで動くんですよって説明されて。これはもう買わないとなってなっちゃいましたね。
JUMI
いいですね。お家に帰って「R2-D2」が待ってるっていう構図もね。これは激レアですよ。ありがとうございます。
そんな黒川さんに伺いたいのはもう一つ。この京橋という街は、先ほどもご紹介しましたが日本有数の美術街です。どんな街だといつも思っていらっしゃいますか。
黒川
京橋、そうですね。美術商の方々のお店がたくさんある街でもありますし、アジフライ屋さんがある街でもあります。
JUMI
いつもすごく並んでるんですよね、アジフライ屋さん。お店の名前が松輪(まつわ)ですからね。ギャグか!って思いましたけど、すごく美味しくて。
食でも目でも楽しめる街ということになるんでしょうか。そもそも黒川さんがこの街でギャラリーを持とうと思われた理由を教えていただいてよろしいでしょうか。
黒川
もともと今の店は違う方が以前やられていて、祖父がその方と親しくしていたのですが、お仕事を退かれるということで、馴染みのある黒川さんにということで譲り受けて今やっています。
原点となった子供時代の昭和家電コレクション
JUMI
そうですか。先ほども黒川さん、まだ20代ということでしたけれども、いったいいつ頃からこういう古美術の世界に入られたのですか。
黒川
僕は22歳の時に修行に行きまして、3年間丁稚を終えて、それで今京橋に店を一人でやってるんですけど、今年で7年目くらいになります。
JUMI
なるほど。おじい様が美術品を扱っていらっしゃったことを考えると、小さい時から古美術にはご興味があったのでしょうか。
黒川
いやあんまりなかったのですが…。小さい頃は昭和の家電製品を集めたりとか。
JUMI
いや十分ですよ。古美術とは言わないけれども昭和家電に小学生で浸る少年っていうのは、なかなかシュールですけど。
黒川
レコードを集めたりとか。
JUMI
やっぱりもともと収集癖みたいなのがあったのですかね。
そして今扱っていらっしゃるものというのが、人間国宝をはじめとする物故作家の方もそうですし、もちろん現代の方もいらっしゃるということなんですけども、ジャンルで括ると…?
黒川
新作工芸、現代工芸というジャンルになりますね。作家ものを扱っています。
JUMI
ということは現在の作家さんに直接お会いになることもできるわけですか。
そういう時にこういう作品はありませんか、またはこういう作品を作っていただけますかということを、黒川さんは作家さんにお伝えになったりするんですか。
黒川
お願いとはできませんけども、たまに作家さんの展示会に行って、作家さん本人とお話をして、よくこれはこういう意味があってこういう形でどうこうとか、説明を聞いたりとかする時はあります。
JUMI
直接作家から話が聞けたら、それをお店にいらっしゃったお客様に、あまり温度差なく思いを伝えることできそうですよね。
黒川
そうですね。
数が少ないもの、制作に時間がかかるもの、珍しいものを扱っていきたい
JUMI
そんな中で、今日はスタジオに大変貴重なお品をお持ちいただいたんですが、これはまさに黒川さんご自身が見つけられたのでしょうか?
黒川
そうですね。こちらは人間国宝の室瀬和美さんという方が作られた、蒔絵が施されている平棗です。
JUMI
平棗。普通棗というと割と高さのあるものが多いんですけど、平棗というだけあって高さは抑えられていて、ただ口径は少し大きめですかね。
黒川
そうですね。この蓋の表の部分にこのスズメが2匹いるんですけども、スズメの部分が螺鈿で施されていて、この色がすごくいい色を出していて、可愛らしいスズメを良く螺鈿で表現しているなと思います。
JUMI
そうですね。少し黄みがかったような薄い緑色のようなスズメが1羽と、それからどちらかというとグレーパープル系のスズメが1羽ということで、これが2羽飛んでいるところなんですけれども、私もこういう色の螺鈿は本当に初めて見ました。
黒川
そうですね。あんまりないですね。特にこの緑色の方は珍しいです。
JUMI
すごく優しい色調になっていますね。そして側面がまた本当に素敵なんですけど、この白く星のように光っているものは何なのかということです。しかも不規則に白く光っているんですけど、何でしょうか。
黒川
これはパールですね。ケシパールと俗に言われます。
JUMI
そうですね。ケシパール。ですね、ケシパールという本当に小さな球形の真珠なんですけども、これが本当に星のように綺麗で。
そしてそこに施されている柄は笹ですかね。
黒川
これも金をまぶした蒔絵で、蓋の方は竹の蒔絵の上に雀が入っている図です。
JUMI
普通だったら本体の方が竹で、雀がいるところが笹の葉だと思うのが通常かもしれません。でもそれがやっぱりこの室瀬さんの手にかかると、熊笹の上の小さな白い雫なのかな、とイメージできて素晴らしい。
黒川
すごく上品で魅力的な作品だと思います。
JUMI
本当にそうですね。この平棗、ぜひ皆さん一度ご覧いただきたいんですが、蓋を取っても中も見事な漆塗りです。
こういった作品を日々ご覧になっていて、黒川さんはこれから先どんな美術品を扱いたいと思ってらっしゃるんでしょう。
黒川
人間国宝の漆芸を多く扱っているのですが、漆の作品というのはなかなか市場に出てこなかったりするのです。作品数が少なかったり、制作工程が長かったりするので、そういう珍しい品物をこれからもたくさん扱っていきたいなって思いますね。
JUMI
そうですね。やはり黒川さんがお好きなものを好きになる方は、まさにそこでシンパシーを感じるようでしょうしね。
黒川
そういうのがあるとすごくありがたいですね。
JUMI
そうですよね。黒川さんのギャラリーは京橋3-6-21 2階なんです。この2階というのはちょっとハードルが高いかもって思ってらっしゃる?
黒川
そうですね。ちょっと入りづらいのかなという感じがしますけど。
JUMI
でも私の中では異空間に入っていくとなると、2階というのは魅力ですよ。これが8階9階だとまた少しハードルが上がっちゃうんですけど、2階というのは外から見上げたら見えますし。
黒川
そうですね。
JUMI
ぜひ皆さんに足を運んでいただきたいギャラリー黒川ですけれども、今後何か展示会などございましたらご紹介いただけますか。
黒川
7月の6日と7日の土日ですね、土日に東京美術倶楽部で骨董の展示会があるので、いろんな美術商の方が参加されてて絵もありますし、お茶道具もあるし骨董もあるし何でも豊富にあるので、それが7月の6、7にあります。毎年7月と12月に開催されます。
JUMI
一般の方は入れるのでしょうか?
黒川
もちろん一般のお客さんがメインです。
JUMI
そうですか。この東京美術倶楽部と言われちゃうと、倶楽部会員しかダメかしらって思うんですけど、そんなことはないんですね。
黒川
展示をしているのが倶楽部会員というだけで、お客さんには自由に入っていただいて、好きなものがあれば買っていただいてという感じです。
JUMI
掘り出し物がたくさんありそうですね。
来月7月6、7日の2日間、東京美術倶楽部。この場所はどのあたりなんでしょう。
黒川
大門、御成門が最寄り駅で、御成門ですと歩いて5分で着きます。
JUMI
そうですか。ではご興味のある方はぜひ東京美術倶楽部のホームページなどチェックしていただければと思います。骨董市があるということですね。レアなものに出会っていただきたいと思います。
というわけで今日はスタジオに京橋三丁目にあります、ギャラリー黒川から代表の黒川詠司さんにお越しいただきました。黒川さんありがとうございました。
黒川
ありがとうございました。