2015.3.25
京橋ちょっといい話:歌川広重 終の住 京橋
京橋ちょっといい話:歌川広重 終の住 京橋
広重(1797~1858)は江戸で生まれ、晩年は京橋で過ごしました。晩年『名所江戸百景』を制作し、119枚ある内の3枚が京橋の作品で、秋『市中繁栄七夕祭』、『京橋竹がし』、冬『びくにはし雪中』があります。
『市中繁栄七夕祭』は七夕の賑わいがカラフルに描かれており、広重が生まれた、定火消しの八代洲河岸(現在の丸の内2丁目)の火の見櫓や、右端の洗濯物が掛かっている家は、広重の家であるという説もあります。
『京橋竹がし』は、京橋川にあった竹市場の夜の静かな風景です。浮世絵に影響された画家の1人、ホイッスラー作『ノクターン、青と金色、オールド・バターシー・ブリッジ』の橋の絵は、広重の『京橋竹がし』がモデルと言われています。竹河岸の名残として河岸の通りに面していた、江戸箒のお店「白木屋伝兵衛」が現在も営業しています。
『びくにはし雪中』は、京橋川の江戸城外堀から最初の橋、びくに橋の風景です。山くじら(猪の肉)、○やき十三里(焼き芋)、ちなみに十三里とは江戸から川越(芋の町)までの距離で、お芋のことを掛けています。深々と雪が降る中、体も心も温まる江戸の雰囲気が出ています。
広重の描いた京橋は、風・水・雪の音が聞こえてくるように感じます。広重が切り取り描いた京橋を、東京アートアンティークで今の風景と比べながら、お散歩の途中で探してみてください。
飯田好日堂 飯田さやか