2025.1.28

店主の小咄 vol.10 | お引越し

日本橋へ移転し新装オープンした五月堂店舗

日本橋へ移転し新装オープンした五月堂店舗

【 上野哲/五月堂 】

 昨年9月24日、「五月堂」は、46年間商売をさせていただいた京橋から日本橋へと移転しました。

▲京橋で営業していた頃の五月堂 旧店舗

 移転話はもう10年以上前から父と話しておりました。しかし、京橋仲通り沿い・路面店という好条件のもと営業を続けさせていただいて、なかなかそれに代わる新規物件を見つけるのは難しいことでした。そうこうしているうち、2023年8月に父が他界。しばらく移転話はお預けかなと考えていた2024年1月、壷中居さんのG君より電話を頂き、箔屋町ビル1階テナント募集のお話でした。丁度その時、私は原因不明の関節炎を患い、手術・治療のため入院中でした。歩行が困難となり、明日のこともわからない状況でしたので、今は考えられない旨をお伝えしました。すると退院したら必ず連絡を下さいねとのこと。G君のお顔が浮かび後光が差しているようでした。

 箔屋町ビルの佇まいは、私の瀬津雅陶堂での修業時代から、洗練されたビルだなあと見上げておりました。憧れのビルへの入居のお誘い、入院中のベットの中、天井を見ながら、来る日も来る日も一日中考えておりました。どうしよう!このタイミングに?考えても答えが出るわけではありませんでしたが、2月に退院して、2週間が過ぎた頃、やはり諦めるのは勿体無い話だと結論に達しました。壷中居さんに連絡を取ってから、杖を突きながら仲通りを歩き、お店に伺いました。そこで社長、G君から箔屋町ビルについての詳細を伺いました。少しお時間をいただくお約束をして、その日は帰宅しました。

 それからもあれこれ思いを巡らしておりましたが、母屋である瀬津雅陶堂の主人に相談しましたら、程なく壷中居さんの社長に、「上野に良い店舗をご紹介下さりありがとうございます」とご挨拶に行ってくださったとのことでした。こうやって皆さまに背中を押していただき、私も一世一代の決心、日本橋への移転に踏み切りました。

 新店舗の内装は、30数年来の友人でもあるO氏に依頼、私のことを(性格も懐具合も)理解してくださり、想像以上の素晴らしい内装に仕上げていただきました。施工はM工務店の若き2枚目兄弟。大変真面目で丁寧な仕事をしていただけました。特に床の間は素晴らしいと感謝感激しております。

▲新店舗の内装

 9月24日、五月堂の日本橋店の開業となりました。昨年より家内と二人で店を営業しております。当日はお客様、同業の皆様から沢山のお花を頂戴いたしました。ここに辿り着くまで、多くの方々のご縁により助けられて参りました。古美術の世界に入り36年、美術の修業を始めた日本橋に戻ってきました。このご縁に感謝し、再スタートする気持ちで古美術に専心してまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 尚、京橋の旧店舗の場所には、昨年の11月に業界の後輩でもある稲村全史君が新規で店をオープンされました。三日月さん由来のモダンな内装はそのまま残して下さり、素敵なお店に生まれ変わりました。彼のこれからの活躍が楽しみです。

【 上野哲/五月堂 】

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五月堂 Gogatsudo

10:00 - 18:00
〒104-0031 東京都中央区日本橋3-6-9 箔屋町ビル1F
1F HBL,, 3-6-9 Nihonbashi, Chuo-ku, Tokyo 104-0031

休業日:日曜、祝日
CLOSE:Sunday, and Holiday
TEL:03-6281-9322 
WEB:ー
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「店主の小咄」では、アートなこの街で店を構える個性的な店主たちの寄稿文を掲載しています。
美術のこと、まちのことなど、興味のある内容があればぜひ店主のお店を訪ねて話を聞いてみて下さい。

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