石関芋平展
エトワール画廊
2年間お待たせいたしました。
芋平さんは、常に刺激的で独創的な「立体、平面、焼物」の作品群を創り出してきました。特に今、この世を震撼させている新型コロナの襲来を予見していました。
残念ながら今年1月、芋平さんはガンに倒れ還らぬ人となりました。
生前ご夫人に“おれには延命治療も葬儀も墓も要らないよ”と言っていました。
天衣無縫、無私無欲、哲学的な芋平さんに、私たちは「天才芸術家」のおくり名を差し上げたいと思います。
どうぞご高覧いただきますようお願い申し上げます。
立体(彫刻)、半立体(ベニヤ作品)、平面(和紙画)、焼物、言葉、これ等全ての作品は、 個展の度に刺檄的で独創的で驚かされます。
特に陶彫(オブジェ)では、前回の個展 (2016年)以降に現れた「小さな塊」が特徴的です。
それら微生物の様な、生命の元素の様な塊は、連なったり、群集化したり、蠢いたりしています。それらは、今、世界を震撼させている「新型コロナウイルス」の出現を予知するかの様です。
その姿は神なのか、侵略者なのか?芋平さんは、菅平の高地から私達へ新鮮な空気を送り続けて居る様です。
創作活動のいのちは、常に実用の美醜を超えた、生存の危機のなかで響く祈りではないでしょうか? 今を最大限に生きる、それは過去現在未来への凝視を止めず、今を生き切ること、我は棄てても人間である事を棄てぬ意志と思われますが、時には禅、時にはアニミズム、そして縄文・カタカムナに共鳴し、「生まれて死ぬ生命って何?」を基調に、統合への意欲をもって試作し、枯れることなく青臭さをも維持しつつ、74 歳の今も新作を創り続けて居る様にも見えます。「私が死ねば、 屍を賀茂川に捨てて、魚に食べさせよ」と言った親鸞と、「私の祖先はサルでもいいけど、イモでもいい」と言う芋平さんを私たちは陰ながら尊敬し、期待をもって見続けます。
石関芋平先生のご冥福を祈りつつ、本展覧会を開催いたします。
エトワール画廊・柴原睦夫