2023.8.22
店主の小咄 vol.1 | 关于书籍封面(展览海报夜故事)
【ギャラリーこちゅうきょ 伊藤潔史】
電車通勤の車中で読書に勤しむ向きは乗客全体の1割程度かとみるのですが、私はその少数派のひとりを自任しています。片道40分ほどゆえに往復だけでも相当の時間を読書にあてることが出来ます。
新刊書には無料で各書店独自のブックカバーが施される昨今ですが、Mロゴが特色の丸善さんの現役ブックカバーは日本橋界隈でもなじみ深いものです。全国の店舗を地図化したデザインのそれはまだ現役なのでしょうか?私的には大いに懐かしく好きなものです。
電車中の読書人の過半が上記のごとき書店特製のブックカバーをまとった書物を手にしていますが、皮革や布地あるいは和紙系統のものを愛用する向きも間々見かけられます。
私が愛用するそれは自家製のもの、ほとんどがオーダーメイドですので「逸品」の価値あり!とひそかにうぬぼれています。
ギャラリーこちゅうきょと壺中居ではありがたいことに諸美術館・博物館あるいは同業者などから展覧会の案内用ポスターをご恵投いただくのが日常となっており、可能な限り掲示しております。東京アートアンティークにご参加の各店舗さまにも同様のことと想像します。
ポスター自体は展覧会が終わりますと自ずと外されますが、ご用が済んだもののなかには廃棄するのが実に惜しいほど良いデザインのものが少なくなく、気に入ったものは貯めておく習慣がいつのころからか身に付きました。
或る日のこと、直感が働き「これは再利用する価値がある、あれにしてみればどうか知らん…」と通読中の書籍に「試作」を施してみました。四半世紀以前のことかと記憶します。
廃棄寸前のポスターをブックカバーに再生させる試みは管見の限り知りませんが、出来栄えはともかく爾来今日までにどのくらいの数のブックカバーを作り愛用してきたことでしょうか?我ながら回答を見出せません。
私流の製作法は下記の如し。
用意するものは用紙、両面テープ、養生テープです。道具はカッターのみ。
1. ポスター本体を適宜裁断して書籍本体のサイズに合わせる。余白はたっぷりと取ること。
ポスターはB2版が一般的ですので1/2或いは1/4にカットすると使いやすい。
2. 余白に適宜「当たり」をつけて折り込み、両面テープで糊しろ加工を施し接着固定する。
折り込みの「遊び」は少しある方が望ましい。無いとかえって傷みやすくなる。
3.養生テープ(透明が望ましい)を背面と両端に施す。これは劣化防止のため。
一発で納得の出来上がりになる一方で、なかなか上手く仕上がらないこともままあり、「日々是修行也!」の気迫をもって毎々作業に勤しみます。
以前は1冊毎に新規で用意しましたが、案外丈夫ですので近来は出来るだけポンコツ=ボロボロ直前になるまで再利用するようになりました。より一層愛着が増すものですね。
いま主に平凡社東洋文庫を通読、再読、三読しておりますが、画像は松浦静山『甲子夜話続篇』中の一冊、カバーは茨城県陶芸美術館での「板谷波山展」のポスターを利用いたしました。本の内容ともそれほど乖離していないかとみます。
デザイン、紙質とも優れて、肝心のカバーの出来具合もマア合格点かとひとり悦んでいます。
今後も素敵な展覧会案内ポスターに出会えますようひそかに期待するものです。
ギャラリーこちゅうきょ 伊藤潔史
---------------------------------------------------------------------------------
ギャラリーこちゅうきょ Gallery KOCHUKYO.,Ltd
11:00 - 18:00(平日) 11:00 - 17:00(土曜) 日祝休み
日本橋3-6-9箔屋町ビル2F
TEL:03-3273-1051 FAX:03-3273-1052
WEB:https://www.kochukyo.co.jp/gallery-kochukyo.html
---------------------------------------------------------------------------------
「店主の小咄」では、アートなこの街で店を構える個性的な店主たちの寄稿文を掲載しています。美術のこと、まちのこと等、興味のある内容があればぜひ店主のお店を訪ねて話を聞いてみて下さい。