2011.4.5

店主インタビュー 松森美術

Q こちらのお店をオープンされたのはいつ頃ですか?

A 1995年・平成7年です。
出身は三重県松阪市なのですが、1980年に名古屋で創業し、東京店も最初は明治屋さんの近くでしたが、同業の方が現在の場所が空いているのを教えて下さってからですから、もう16年になります。

Q 東京出店は夢・目標だったのですか?

A 東京は日本の中心。その中心である東京で、様々な方たちとの出会いを求めたかった、とも言えるし、この界隈は老舗から若い方のお店まで、しかも、美術全般と言っていいくらいに美術商が集まった場所なので、そういったなかで自分も刺激を受けたい、という気持ちもあったように思います。やはり、商売云々というよりも、人との出会い・縁を求めた結果、必然的にそうなったのだと思います。

Q そのなかで一番印象にのこっている出会い・縁は?

A 皆様印象深い方々ばかりですが、東京アートアンティークには若い方も大勢来られるので、この話をしますが、美術品、特に古美術をお求めになるのは、時間的・経済的余裕のあるご高齢の方が多いのですが数年前に青磁花入をお求めいただいたのは、私の子供と年齢の変わらぬ青年です。決して安くはありませんでしたから、彼は「長期間の分割になってもよろしいですか?」と素直に言うんです。美術品を美術館などで観るだけでなく、自分のものにしたい、自分のものにしてもっと解るようになりたい、というその気持ちに頭が下がりましたので快諾しました。今でも親と子ほどの年齢差など気にせず、お付き合いさせていただいています。美術品がもたらしてくれた、その"縁"は、年齢・肩書きに関係なく、良い意味で対等であると思うので、私にはとても合っていて良縁です(笑)。

Q その"縁"をもたらしてくれる商品の仕入れはどのようにされているのですか?

A お客様から買い取りさせていただく事もありますが、業者間の交換会での仕入れの方が多いです。

Q その時はどういう基準で商品を選ばれているのでしょうか?

A お客様のご注文にお応えするために買う事もありますが、やはり自分が、欲しい、と思ったものだけを買うようにしています。交換会ですと、競る相手がいるので思った値段では買えない事が多いのですが、自分が買おう、としたときの心躍りドキドキする気持ちは、お客様がお買い求めになる時と同じだと思うんです。ですから、その気持ちをを共感する事ができる交換会で仕入れる方が好きかもしれません。

Q 休日はなにをなされているのですか?また美術以外での趣味などはありますか?

A 最近は商売を子供達に任せているので、休日に限らず時間のある時は美術館に行ったりします。ご近所の三井記念美術館さん・ブリヂストン美術館さんへはよく行きます。先日、初めて鍛冶橋通りのフィルムセンターさんへ行きましたが、DVD化されていない名画の保存・上映をされているので驚きました。今まで知らなくて、ちょっと悔やんだくらいです。
あとは、仕事の延長のようですが、ヨガや歴史等の勉強会に行っています。他にも人と会って話す事が好きなので、異業種の方と親交を広められるところには進んで参加するようにしています。ですからお客様からは、「森田さんは何時行ってもお店にいませんね」と言われますよ(笑)。

Q 最後に東京アートアンティークに来られる方に一言メッセージをお願いします。

A あまり難しく考えずに楽しんでいただきたいです。
私事ですが、以前、溝口健二監督の映画「名刀美女丸」を観たあとに、偶然にも映画で共演している、花柳章太郎と伊志井寛の合筆の掛け軸が交換会に出品されていたので、これも何かの縁だと思い、嬉しくなり買い求めました。
かしこまって美術品を観に行く、というよりも、発見や出会いを楽しむ気持ちでお越し下さい。
美術品と日常生活は、もっと身近なものであってほしいと思いますので。

(2011年4月)

松森美術

東京都中央区京橋2-8-8 新京橋ビル1階

http://www.matumori.co.jp/

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