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東京 アート アンティーク 〜日本橋・京橋美術まつり 2018

4.26( 木 ) , 4.27( 金 ) , 4.28( 土 )

日本橋ちょっと美味しい話:お菓子司ときわ木「若紫」( 2015 年)

花筥-HANABAKO-

 好きな物は"竹工芸と甘い物"と言ってはばからない私にとって、日本橋界隈は夢のようなところです。奈良で高野竹の丸竹を用いた見事な花籠やオブジェを制作するスウィーツ好きの竹芸家、谷岡茂雄先生・亜衣子先生ご夫妻にお送りし、喜んでいただいたのは「うさぎやさんのどら焼き」。大分に素晴らしい茶室を持ち、モダンな白竹の素敵な作品を作る生野徳三先生が上京の折には必ずお土産になさるのは「長門さんの切羊羹」。というように、周囲にはおいしい銘菓が多く、進物、手土産選びには困りません。

 そして、私がご紹介したいのは「若紫」です。思い起こせば、弊社が花籠専門店として「花筥」をこの日本橋に立ち上げた11年前になりますが、その頃まだご存命でいらした池田瓢翁先生に御來廊いただいた折、相好を崩し、「おいしいね~」と言っていただいたお菓子があります。茶人としても名を馳せ、侘び籠制作の第一人者であった池田先生を唸らせた、そのお菓子が「若紫」です。

 この「若紫」をつくっているのは、「お菓子司 ときわ木」です。最近では"日本橋"という地名をブランドにして老舗を装う店もある中で、「お菓子司 ときわ木」は、正真正銘、明治43年(1910年)創業、100年の伝統ある和菓子店です。版画家、福田久哉先生の描いた少女の掛け紙の「若紫」の蓋を開けると、15片に切り分けられた上品な薄紫色の半生菓子がきっちりと並んでいます。

 表現するのが大変難しいのですが、口に入れるとホロっと崩れ、さらっと溶けます。しかし、ねっとりした食感もあります。小豆と白餡と砂糖のみで出来ているとのことですが、しっとりした甘さがありながらくどくなく、上品な何とも言えない味わいは、よほど吟味した材料を用いているのでしょうね。茶人ならずともお抹茶で頂きたくなります。昭和の俳人中村貞女も贔屓にし、「若紫」を好んでいたようです。

 夏季は、「若紫」は作られておりません。また、平素も予約なしでは入手困難な銘菓です。ぜひご予約をしてご賞味されることをお勧めします。

 「お菓子司 ときわ木」は表通りには面しておらず、ちょっと見過ごすと通り過ぎてしまいそうな小さなお店です。お店の場所は、永代通りの江戸橋1丁目の交差点を茅場町方面へ渡り、首都高速の手前を左に入りすぐのところにあります。「若紫」のほか、ガラスの陳列ケースではなく、漆塗りの縁高に並ぶ煉切りなどの季節の和菓子もお勧めです。


【お菓子司ときわ木】
東京都中央区日本橋1-15-4 
Tel.03-3271-9180 
営業時間 9:30 ~ 17:30(土日祝休)
「若紫」小2.750 円( 税込) 大3.300 円( 税込)
9 月、12 月、2 月の第2 土曜日に予約開始



花筥-HANABAKO-  大口真美

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